2011年4月10日日曜日

震災の被災地を「スマートグリッド特区」化しようという動きがあるようだ。


東北大震災の被災地ではすべてのものが壊滅した。これから、たくさんの資金と時間をかけ、あらゆるインフラの再建を同時並行的におこなっていかなければならない。この復興作業を、ただの復興ではなく新しい何かを生み出す機会ととらえた方策のひとつが、被災地の「スマートグリッド特区」化だ。

スマートグリッドは世界中から注目こそされているものの、まだ世界のどこでも大規模実証実験さえされていない。「今回の震災からの復興は実証実験を進めるためのまたとない機会となり得る。ほぼ全壊したインフラの再整備にはどのみち巨額の資金がかかるため、最新鋭の技術を試すための金銭面のハードルが低い」という。

「送電網はただでさえ規模が大きいため最新技術を試すには資金がかかりすぎることに加えて、既存の電力網に違うシステムを導入したときに万が一深刻な障害が発生したらという、リスクを恐れる気持ちもある」
「最も期待していたアメリカでスマートグリッド構想が後退して、どうなることかと思っていました。確かにスマートグリッド技術はまだ成熟していませんが、それでも当社の技術をはじめ、日本の技術を使えば必ず良いシステムを作り上げられると思いますし、そもそもそうしていかなければ世界では勝てない」
(重電大手幹部)

「マイクログリッドの技術を持つパナソニックのある幹部は、被災地の地域電力網再生への新技術投入に意欲を示す。発電・送電配電技術を持つ強電各社、電力需要の把握やスマートグリッド制御に関わるIT企業、また風力、太陽光、マイクロ水力などの再生可能エネルギー利用技術を持つ企業など、多くの企業が同様の期待感を持っている。」

「EVは道路を走るのが本来の使い方」(日産自動車の車両開発担当)「スマートグリッドで使った場合のバッテリーの劣化については保証する自信が持てない」(三菱自動車の出力制御装置開発担当)と、これまではスマートグリッドとEVの有効勝つようについて提案こそするものの、EVからの放電などには実際には消極的であった自動車業界も、今こそまだ検討余地のたくさんある未来技術であるEVとともに、電力会社への働きかけをおこなっていくときなのかもしれない。


ソースはResponse
【井元康一郎のビフォーアフター】被災地の復興にスマートグリッドという選択

2 件のコメント:

  1. やはり技術者というのは真面目だなあ・・・ってのが、日産とか三菱のコメントから読み取れます。自動車のバッテリーまでスマートグリッドに組み込む事を考えてるんですね。家庭では週末しか動かない、あるいは走行距離が短い車は多いから、それこそスマートグリッドに組み込むべきなんでしょう。
    ノーパソとかiPadとかケータイのバッテリーすら、きっと想定してるんでしょうね。技術者はほんとにすごい。そしてその想定は金のかかる送電網(利権もでかそう)とはまた別の細かいところだってのが、好印象です。

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  2. EVが先進国では一過性のブームに終わるだろう(おそらく開発者もそう思っている)と思っている理由は廃棄問題と資源の獲得にリスクが大きいからで、その鋭い指摘でもあると思います。現状では水素とか圧縮空気などの方が未来性はある。どうせ一過性なのにスマートグリッドに組み込むのはコストに見合わない。

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