2011年2月9日水曜日

誰が電気自動車を殺したか。誰が生き返らせるのか。

「Who Killed the Electric Car? : 誰が電気自動車を殺したか」は2006年にアメリカで公開されたドキュメンタリー映画だ。1996年に米General Motors社がリース発売した電気自動車「EV1」。トムハンクスやメルギブソンなどを含む初期ユーザーたちに絶賛され、予約者リストは5000人を超えた。カリフォルニア州が、電気自動車の導入政策をおこなっていたことも追い風になった。しかし、わずか3年後の1999年に突然、GM社は生産を停止、2003年にはすでに走っていた車体までも、反対運動を展開するユーザーたちから無理矢理に回収し、製造した1117台中、2台を除く1115台を破砕し廃車にしてしまった。突如として、街からも市場からも電気自動車は姿を消してしまったのだ。


ガソリン消費量の減少を懸念する石油業界。電気自動車に比べ利幅の大きい内燃機関の車を売りたい自動車業界。この2大業界から多額の献金を受ける米国政府。こうした既得権益の消滅を恐れる勢力たちが、ありとあらゆる手段で圧力をかけた。カリフォルニア州も、無公害車支援の対象を、販売目処のたたない水素燃料車に変更した。このような状況の中、GM EV1は完成度が高すぎた。それ故に産みの親からさえも、見放されてしまうこととなった。



これがその証拠とも言える、EV1のコマーシャル映像。不気味な雰囲気の映像に、不穏な音楽とナレーション。肝心の車両自体は特徴や仕様が紹介されないどころか、全景すらうつらない。このCMで興味を持てという方が無理な話だった。

そして同時期にEVを世に出した、出そうとしたフォードやトヨタ、ホンダも、というのが、映画「誰が電気自動車を殺したか」の映した、90年代後半の現実だ。これを撮った監督、クリスペインが、いま新しい映画を製作している。一度は見捨てられ、殺されたEVが、経済危機によって大打撃を受けた米自動車業界の起死回生の策として、再浮上してきた現在を追う。この作品の中心にすえられるのは、イーロンマスク率いるTesla Motors。ペイン監督自身、Tesla Roadsterオーナーになったようだ。

「The Revenge of the Electric Car」は2011年春に公開される予定。以下は予告編。公開が待ち遠しい。





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